日本のお家芸として海外でも評価される
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「業界は発展するかしぼむのか、岐路に立っている」。日本動画協会理事長でアニメ制作会社ぴえろ(三鷹市)の布川郁司社長の見方だ。最大の問題は収益源 の過半を占めるテレビ番組の減少。同協会によると、TV animeの放映作品はピーク時の約280本(2006年)に比べ09年は約2割減るなど減少傾向が 続いている。
背景にはスポンサーの減少がある。スポンサーを複数の企業に分散させる方式でも以前のようには集まらない。少子化で児童向け製品の市場は縮小。玩具など関連企業数も統廃合で減っている。
こうした事情から09年度のぴえろの売上高は約60億円で前の期比横ばいにとどまった。布川社長は「制作部門はいわば製造業で利益率が低い。これからはサービス業的な2次使用部門の比率を高めたい」という。
最近、国分寺市から武蔵野市の新本社に移転したIGポートの10年5月期の売上高は前期比15%減の約60億円。損益は経常赤字となった。「テレビシ リーズの受注減が響いた。DVDの販売減も大きい」と広報担当。「今後はデジタルコンテンツ部門で少額課金で多数の顧客からかせぐビジネスモデルを構築す る」
番組制作の赤字をDVDや関連商品の収入で埋められればいいのだが、
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JR中央線や西武沿線などに約70のアニメ制作会社が集まる多摩地区。帝国データバンク東京西支店が集計した主要39社の業績は09年度実績で増収が 11社だったのに対し、減収15社で横ばい13社。中小、零細が多い業界では制作工程が細かく分業化されており共倒れの危険も潜んでいる。09年以降、法 的整理で倒産した企業は7社を数える。
日本のアニメ業界が逆風に苦しむ中、韓国や中国は国策としてアニメ産業を育てようとしている。「国内のアニメ業界も人材育成や利益を生み出すビジネスモ デルの再構築に向け、今こそ国や自治体の支援を求めたい」と布川理事長は訴える。文化庁などが支援体制をとりつつあるがアニメ業界が淘汰の時代を迎えてい ることは間違いなさそうだ。(編集委員 鈴木純一)
日本経済新聞
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